FXDDグループは、2002年にアメリカで設立された歴史ある海外FX業者です。実際、FX黎明期と呼ばれた当時には、海外FXと言えばFXDDと評されるほどの知名度を誇っていました。さらに、2003年に日本向けサービスを開始した際には、最先端のMetaTraderを利用できるだけでなく、裁量トレーダー向けのプラットフォーム「Currenex」や、スキャルピングに特化した「cTrader」も提供しており、日本人トレーダーからの人気を集めました。したがって、FX経験が長いトレーダーの中には、FXDDを利用していた方も多いでしょう。
しかしながら、最近ではFXDDの評判があまり良くなく、新規顧客の数が減少しているようです。このような状況を考えると、今後の展望には注意が必要です。
運営会社
金融ライセンス
FXDDは金融ライセンスを未所持の可能性があります。通常の場合、海外FX業者の公式サイトにはライセンス番号が記載されていますが、FXDDの公式サイトには記載が全く見当たりません。金融ライセンスはバミューダ金融庁で取得していると公式サイトに記載されていますが、実際はバミューダ金融庁にFXDDの登録はありません。金融ライセンス未所持の可能性があり、安全性や信頼性の面で大きなデメリットでしょう。
分別管理あり・信託保全なし
顧客資金は業者資金とは明確に分別管理されるため、トレーダーの資金がFXDDの運営資金に回されることはありません。ただし、顧客から預かる資産を分別管理として保管しているだけなので、仮にFXDD側が破産をした場合は預けたお金が戻ってこなくなる可能性があります。
取引条件・ルール
口座タイプは2種類
FXDDの口座タイプは「スタンダード口座」と「プレミアム口座」の2種類の口座タイプが選択できます。2つの口座の違いはスプレッドの広さと取引手数料の有無です。スタンダード口座はSTP方式を採用していて、取引手数料が無料のため、海外FX初心者におすすめです。プレミアム口座はECN方式を採用していて、スプレッドが狭く中上級者におすすめです。最低入金額はスタンダード口座で250ドル、プレミアム口座で1,000ドルと高めの設定になっています。
スタンダード口座
- 取引手数料が無料
- スプレッドが広め
プレミアム口座
- 取引コストが抑えられる
- 銘柄ごとに規定の取引手数料が設定
取扱銘柄
最大レバレッジ500倍
FXDDでは口座開設時には最大レバレッジが200倍に設定されていますが、口座開設後にカスタマーポータルからレバレッジ変更申請をすることができ、最大レバレッジ500倍で運用可能です。口座残高によるレバレッジ制限などは設定されていません。ただし、マイナー通貨ペアなどでは、ハイレバレッジでのトレードが制限されます。
ゼロカットシステムなし
現在FXDDには「ゼロカットシステム」がありません。2014年頃まではゼロカットを提供していたのですが、2015年1月に発生したスイスフランショックを境にゼロカットについての表記が公式サイトで確認できなくなりました。レバレッジに制限がない海外FX業者を利用するときに、ゼロカットがないのは非常に危険なことで、日本人が利用できるメジャー海外FX業者においてゼロカットがない業者は基本的にありません。国内のFX業者の場合はこれに対し、ゼロカットがない代わりにレバレッジを最大25倍に規制しています。
相場の急激な変動により、入金額以上の損失が出てしまった場合、本来ならばトレーダーが支払うべき追証分をFX業者が補填する仕組み。ほとんどの海外FX業者がゼロカットの導入をしており、不可欠なサービスの1つになっています。
ロスカット水準
FXDDのロスカット水準は証拠金維持率50%以下と高めに設定されています。取引をする際は、ロスカットに注意をする必要があるでしょう。
0スリッページを保証
FXDDの指値注文の約定率は非常に高く、トレーダー側に不利なスリッページはほとんど発生しません。どの海外FX業者でもスリッページは起こるのですが、FXDDの指値注文では、トレーダー側に有利な方向へスリッページが発生する頻度高く、長年のFXトレーダーがFXDDを利用する理由の1つとなっています。
注文した価格もしくは指値注文価格と実際に約定した価格差。一般に価格変動が大きいと、スリッページが発生しやすくなります。FX業者の約定力やSTP方式、ECN方式でもスリッページに違いがでます。
MAMサービス
FXDDでは「MAM」と呼ばれるサービスを展開しています。MAMとはプロのトレーダーに資金を運用してもらうサービスのことです。ただ手数料が30%と非常に高く、FX初心者でも勝てる可能性がある反面、大きな損失を受けてしまうこともあります。
無料VPSサービス
FXDDには無料VPSサービスがあります。条件は下記ですが、月額30ドルを支払うことでも利用可能です。
・毎月50万通貨の往復取引
・最低口座残高2,500ドル(日本円口座の場合20万円)
MT4ヒストリカルデータ
ヒストリカルデータとは、過去のチャートが記録されているデータのことです。主にMT4で自動売買のシステムをバックテストする際に必要なデータになります。バックテストとは自動売買システムの成績を検証するものであり、検証の際にヒストリカルデータが使用されます。FXDDでは会員登録なしでヒストリカルデータをダウンロードすることができます。しかし異常な値が含まれていることもあり、信頼性の面では若干不安があります。各業者ごとにデータの正確性が異なるため、正確性の高いデータを提供する業者を探す必要があります。
取引ツール
MT4(MetaTrader4)・MT5(MetaTrader5)
FXDDではMT4とMT5を使って取引ができます。MT4は世界中のトレーダーから大人気の取引ツールです。その後継にあたるMT5はMT4とインジケーターや自動売買の互換性がないため、ユーザーの移行が遅れています。MT5はインジケーター・EAの種類ではMT4に劣るものの、
- 動作スピードがMT4より優秀
- 時間足表示がMT4より多く、チャート分析がより正確にできる
というメリットがあります。
WEB TRADER
WEB TRADERはFXDD独自の取引ツールです。WEB TRADERはプレミアム口座のみ使用可能です。裁量取引専用であり、動作が軽いうえに操作がシンプルで使いやすいことが挙げられます。チャートには「Trading view」が使われています。ただしWEB TRADERはブラウザ版のみとなっています。また独自のインジケーターの追加や自動売買をすることはできません。
入出金方法
入金手数料は国内銀行送金のみ2.5%発生し、それ以外の方法では無料です。ただし金融機関・決済サービス会社で発生する各種手数料は自己負担となります。
出金時のルール
入金時に用いた方法でしか出金は出来ません。
口座維持手数料
FXDDでは口座維持手数料がかかる場合があります。1月1日、4月1日、7月1日、10月1日時点で、直近3ヶ月(90日間)トレード履歴がないと口座維持費がかかってしまいます。口座維持費は、取引が行われていない期間によって変動します。口座に残高がない場合、維持費は発生しませんが、6ヶ月以上利用がなく口座残高がゼロの状態が続くと、口座凍結となってしまいます。
ポジション保有数
FXDDには最大取引量の設定がありません。証拠金がある限り、いくらでもポジションを保有することが可能なので、取引量が多いトレーダーでも安心です。
早朝のスプレッド
日本時間の早朝の時間帯はスプレッドが不安定な時間帯として知られています。この時間帯は、FX市場の中で最も取引量が少ないので、スプレッドも大きく開いてしまうという特徴があります。FXDDは、他の海外FX業者と比較して、早朝スプレッドが拡がりにくいという特長があるため、早朝の時間帯を狙ったロジックのEAを運用しているトレーダーでも、安心して稼働し続けることが可能です。
トレードコンテスト
FXDDはトレードコンテストを不定期に開催しています。開催期間中のトレード収益率(ROI)でランキングが決定され、上位入賞者には賞金と特別ボーナスが授与されます。上位入賞を果たすと、特別オファーが届く可能性もあります。
日本語サポート
FXDDは日本人トレーダーに充実した日本語サポートを提供しています。日本語サポートには電話対応とメール対応の2つがあり、メールに関しては24時間365日受け付けています。
まとめ
メリット
- 取り扱い銘柄が豊富
- スワップポイントが有利
- MT4・MT5が両方使える
- トレードコンテストを定期的に実施
- ヒストリカルデータをダウンロード可能
- 日本語サポートが充実
- 最大レバレッジ500倍
- スリッページがほとんど発生しない
- 入出金方法が豊富
-
早朝のスプレッドが広がりにくい
デメリット
- ゼロカットシステムがない
- キャンペーンの開催頻度が少ない
- 金融ライセンスがない
- 顧客資産が分別管理のみ
- ヒストリカルデータの精度が低い
- ライセンス無登録
- スプレッドが広い
- ロスカット水準が高い
- 口座維持費がかかる
- 運営状況が明瞭ではない
- 入出金に時間を要する
- 月2回目以降の出金には手数料がかかる
- 最低入金額が高い
ポイント
- 日本に海外FXのハイレバレッジを広めた草分け的存在
- トラブル多発により衰退
- 現在はサービスの品質低下が顕著
- 過去の「大手FX業者」というブランドイメージは健在
信頼性や透明性の低下と、多くの競合が参入したことによる優位性低下で、様々な面で他社に追いつくことができていません。多少のメリットはありますが、デメリットの多さが感じられてしまいます。
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