2013年にニュージーランドで設立されたLAND-FX(ランドエフエックス)は、イギリス・中国・フィリピン・ロシア・シンガポール・インドネシア・マレーシア・エジプトなど、各地に営業所を構える世界的に有名な海外FX業者です。2022年3月に大幅なリニューアルを実施し、レバレッジ無制限とスプレッドの狭さ、高い約定力が強みの業者に生まれ変わりました。またリニューアル後はゼロカットシステムとLandFX独自の「自動マイナスリカバリー」でどんな場合であっても追証が生じないようになっています。一方、リニューアル前に強みとしていたボーナスについては、リニューアル後には一切なくなってしまい、リニューアル前後では全く別の業者になったと言えるでしょう。
リニューアル前とリニューアル後の主な変更点は以下の通りです。
この記事では、新しく生まれ変わったLAND-FXについて詳しく解説していきます。
信頼性
金融ライセンス
LAND-FXの日本人向けサービスはLand Prime Ltd.が運営しています。金融ライセンスについての明確な説明はなく、公式サイトにはSVG FSA(セントビンセント・グレナディーン金融庁)の登録番号「23627 IBC 2016」が記載されていますが、会社をセントビンセント・グレナディーンに設立しているだけに過ぎない可能性があります。以前はFSPR(ニュージーランド)ライセンスを所有していましたが、2017年4月に登録が抹消されており、それ以降再取得した様子もありません。そのため、金融ライセンスを保有していない可能性も充分あります。しかし、Land-FXの本社であるLandFX UK Ltd.は、日本の金融庁のモデルともなったFCA(英国金融行動監視機構)の金融ライセンスを取得して厳しい規制の下運営されています。保持者に対して厳しい規制を行っていることで知られており、数ある金融ライセンスの中でも信頼度が非常に高いものです。日本人アカウントはFCAの規制の範囲外ではあるものの、グループ全体で見れば信頼性が高いと言えるでしょう。
取扱銘柄
LAND-FXで取引が可能な商品は次の通りです。
Land-FXは取扱銘柄が豊富なのも特徴です。取扱通貨ペアは67銘柄で、メジャー通貨はもちろんのこと、マニアックなマイナー通貨まで数多く取り揃えています。仮想通貨は取り扱っていませんが、同じグループで展開されているWISEBITCOINで現物と先物両方の取引が可能です。
取引ツール
取引ツールはMT4・MT5が両方使える
取引ツールは、定番のMT4(MetaTrader4)と最新版のMT5(MetaTrader5)の両方に対応しています。MT5は利用できる海外FX業者も増えてきてはいるもののまだ少ないので、MT5が選択できるのはメリットと言えるでしょう。MT5は、動作スピードが早く、チャート分析性能に優れているため、裁量取引向きのプラットフォームと言われています。MT4に比べ、見やすさ・使いやすさが大幅に改善されているため、初心者でも利用しやすいと言えます。
本人認証不要のエクスプレス口座
Land-FXの口座には、本口座・エクスプレス口座・デモ口座の3種類があります。
エクスプレス口座は口座開設時に本人確認書類を提出する必要はなく、手続きはメールアドレスと携帯電話番号を入力するだけの簡単さですが、以下の制限事項もあります。
- 入金限度額は3,000ドル
- 使用可能期間は1ヶ月
- 最大レバレッジは2,000倍
- 取引プラットフォームはMT5のみ
口座開設から1ヶ月以内に本人確認を行うことで、本口座に変更を行うことができます。初めてLAND-FXを利用する人は、このエクスプレス口座から初めてもみても良いでしょう。デモ口座も本人確認書類不要で利用できますが、あくまでも本番環境とは異なるデモ環境での取引です。海外FXの仕組みやツールの使い方を学ぶには最適ですが、リアルな取引環境を体験することはできません。
日本語の無料学習コンテンツ
LAND-FXでは、テキストタイプの無料学習コンテンツがあります。FXの基礎から各種テクニカル分析までを日本語で学ぶことができます。
日本語サポートも充実
LAND-FXの公式サイトやマイページは完全日本語対応しており、英語ができなくても使いやすいのが特徴です。日本語でのサポートも充実しています。現在のサポート方法は、ライブチャットとメールの2種類です。
口座タイプ
現在、Land-FXの口座タイプは4種類です。リニューアル前は「スタンダード口座」「LPボーナス口座」「ECN口座」の3種類でしたが、2022年3月のリニューアル後は「スタンダード口座」「プライム口座」「ECN口座」「イスラム口座」の4種類になっています。「イスラム口座」はイスラム教徒向けのスワップフリーの口座で、開設にはイスラム教徒であることを証明する書類が必要となります。
口座タイプ比較
それぞれの口座タイプの主な違いは、最大レバレッジ・取扱銘柄・ロスカット水準・スプレッド・取引手数料・最低入金額です。
取引条件・ルール
最大レバレッジが無制限
リニューアル前は最大レバレッジが500倍でしたが、リニューアル後は最大レバレッジが無制限(厳密には約21億倍)となりました。
ロスカット水準が0%
最大レバレッジと同様、リニューアルによってロスカット水準についても改善が行われています。ロスカットは口座の証拠金維持率が一定の割合を下回ると強制的に決済される仕組みのことです。リニューアル前のロスカット水準は30%と、他の業者と比較すると少々高い数値でした。しかし、リニューアルによってスタンダード口座とプライム口座のロスカット水準が0%になったため、口座残高が0になるまでポジションを保有し続けられるようになりました。ECN口座のみロスカット水準は30%なので、他の口座タイプと混同しないように気をつけましょう。また、いざロスカットが発動すると、口座残高はゼロになってしまうので資金管理には十分注意しましょう。
独自の「自動マイナスリカバリー」で追証なし
海外FX業者は通常「ゼロカットシステム」を採用しており、万が一ロスカットが間に合わなかった場合でも追証はありません。一方、Land-FXではゼロカットシステムではなく「自動マイナスリカバリー」という独自のシステムを採用しています。自動マイナスリカバリーは「オープンポジションがなく」かつ「マイナス残高が10万円未満」であれば、自動でマイナス残高が0までリカバリーされるシステムです。マイナス残高が10万円以上になった場合は、自動マイナスリカバリーは適用されないものの追証を請求されることはありません。
スプレッドが狭い
スプレッドの観点から考えると、おすすめなのはプライム口座です。プライム口座のスプレッドは他の業者と比較しても特に狭くなっています。
データセンターの増設で高い約定力を実現
LAND-FXは約定力に力を入れており、以下4社とパートナー提携してデータセンター周りに多額の投資をしています。他のブローカーに比べてもサクサク約定し、注文が滑ることはほとんどありません。
- Equinix
- Amazon
- RousTech
- PrimeXM
最大レバレッジと制限の条件
レバレッジ規制がかかる場合
Land-FXでは、以下3つのケースでレバレッジに規制がかかります。
- 銘柄ごとのレバレッジ規制
- 証拠金残高が一定額以上に達した場合
- 経済指標の発表時などの時間帯
銘柄ごとのレバレッジ規制
レバレッジ無制限で取引できるのはFX通貨ペアと貴金属の2種類です。
証拠金残高によるレバレッジ規制
証拠金額によってレバレッジが制限されます。
経済指標の発表時などの時間帯
以下の時間帯ですべての口座タイプで最大レバレッジが200倍に規制されます。
このレバレッジ制限の対象は期間中の新規ポジションのみで、保有しているポジションに対しては適用されません。
入出金方法
入金方法
LAND-FXの入金方法は現時点では5種類あり、詳細は次のとおりです。
最低入金額以上の入金を行うことで、入金手数料はLAND-FXが負担してくれます。ただし、資金を出金する際に、出金までに規定のロット数の取引を達成していなければ、一度は負担してもらっていた入金手数料を出金額から差し引かれてしまうので注意してください。クレジットカード・デビットカードはVISAのみです。国内・海外銀行送金で入金の場合は、各銀行で所定の振込手数料がかかります。またSTICPAYやビットコインで入金の場合は、これらのオンラインウォレットに入金する段階で所定の送金手数料がかかります。
出金方法
LAND-FXからの出金方法は次の通りです。
アンチマネーロンダリングの観点から、入金額と同等の金額までは、入金方法と出金方法は同じである必要があります。なお、LAND-FXマスターカードは新規での発行申請受付を終了しています。
メリット
- 最大レバレッジ無制限
- 取引手数料の安さは業界トップクラス
- 独自の「自動マイナスリカバリー」で追証なし
- ロスカット率0%
- 取引ツールはMT4・MT5に対応
- 教育コンテンツが充実
- 本人確認不要のエクスプレス口座
- スプレッドが狭い
- 高い約定力
- 日本語サポート充実
- 取扱い銘柄が豊富
デメリット
- 場合によりレバレッジ制限がかかる
- 出金手数料が高い
- ボーナスなし
- DD方式(OTC取引)を採用?
- 取引での禁止事項が多い
- サーバーがダウンしやすい
出金手数料が高い
海外銀行送金で出金する場合は45ドルが、STICPAYで出金する場合は0.3ドルに加えて出金額の2.5%が手数料として差し引かれます。海外銀行送金では、すべて米ドルに変換して送金されます。したがって、別途、為替手数料がかかります。つまり、LAND-FXから海外銀行送金で出金する場合には、以下のコストをトレーダーが負担することになります。
送金手数料(約45ドル)+中継銀行手数料+着金手数料
ある程度利益を出してからまとめて出金するのが得策であり、少額を頻繁に出金したい場合には不向きであると言えます。
ボーナスなし
LAND-FXはもともと豪華なボーナスが売りの海外FX業者でした。しかし、リニューアル後は一切ボーナスを実施していません。今後ボーナスが実施される可能性もありますが、ボーナスに期待できる業者ではないと言えます。
DD方式採用の疑惑
基本的に海外FXでは多くの業者がNDD(ノーディーリングデスク・A-book)方式を採用しています。LAND-FXでも公式ではNDD方式を採用しているとの記述がありますが、DD方式(ディーリングデスク・B-book)を採用しているのでは?という疑惑も流れています。
LAND-FXでDD方式が疑われている原因は3つあります。
- 約定が早い
- スプレッドがかなり狭い
- スキャルピングを一部禁止している
DD方式を採用している場合は、取引での透明性が低いと言えます。しかしDD方式を採用している業者は、スプレッドが狭く設定できるというメリットもあります。
- スプレッドは広くても透明性の高い取引がしたいという方には、NDD方式
- 透明性は低くても狭いスプレッドで取引したいという方には、DD方式
取引での禁止事項が多い
LAND-FXで出金拒否が起こってしまう事例のほとんどが、知らないうちに禁止事項に触れてしまうケースです。禁止事項に十分注意して取引する必要があります。
LandFXでは、以下の取引を規約で禁止しています。
- ボーナスを悪用した取引
- ゼロカットを悪用した取引
- 複数の口座や他業者間での両建て:単一口座でのみ両建て取引が認められていますが、複数口座や複数業者による両建て取引は禁止されています。
- アービトラージ(裁定取引:2つ以上の商品の価格差を利用して利益を出す方法)
- サーバーに高い負荷をかけるような取引
- EAを使ったスキャルピング:スキャルピングに関しては容認されていますが、EAを利用したスキャルピングや大ロットでの短時間の売買を繰り返すことは禁止です。スキャルピング取引は控えるのが無難と言えるでしょう。
上記のような取引を行って利益を得た場合、利用規約違反となり、警告を受けたり、最悪の場合は出金停止や口座凍結の措置が取られることもありますので注意しましょう。禁止とは明記されていなくても、取引の内容によっては禁止事項に当たると判断される可能性もゼロではありません。
まとめ
Land-FXは2022年3月のリニューアルに伴い、まったく別の業者と言っていいほど仕様が変わりました。それまではボーナス重視でしたが、リニューアル後はレバレッジ無制限とスプレッドの狭さが強みの、スペック的に高水準の海外FX業者と生まれ変わりました。最大の改善点は独自の”自動マイナスリカバリー”、ハイレバレッジで取引しても追証の可能性がなくなった点です。ダイナミックなFXトレードを楽しめるようになりました。レバレッジ無制限は、資金が少ない方にとってはメリットであり、試してみる価値が大いにあるでしょう。ただ、規約に厳しいことは間違いないので、他の業者で問題がなかったからといってリスクの高いトレードを行うのは避けておきましょう。
コメント